「ワタシノナマエハマイコーデス」
とでも言った日には、
「日本語、お上手ですねぇ〜!」
と手放しでべた褒めするキトクな方って多いですよね。
逆にセイン・カミュ位ペラペラになると誰も褒めなくなるので、在日外国人の間では「日本人に「日本語お上手ですね」と褒められなくなったらその時は本当に日本語が上手くなったと思って良い」なんて通説まである程。
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「日本語は難しいねぇ〜」
コレ、日本に住んでいると日常生活でよく聞くフレーズですが、そんな慣用句といい、前述の如く金髪碧眼の方が稚拙なフレーズをヒトコトでも発したらベタ褒めしたりする背景には:
日本語は世界一難しい言語だ
というお国自慢にもにた考えが頭のどこかにあるからだと思うのです。
果たしてそれは本当なのでしょうか?
あるいは日本人だけが勝手にそう思い込んでいるのでしょうか?
ハリウッドにある日本料理店「芸者の宿」
僕は割と世界中の色々な国に友達がいますが、仏人はフランス語の複雑な文法や詩的な言い回しのニュアンスを理解するのは外国人には無理だと言い、英国人は世界で最も同義語が多いと云われる膨大なボキャブラリーを駆使した英語独特の婉曲な表現を外国人が本当の意味で使いこなすのは極めて大変だ、と言い、中国人は何千もの漢字を全部憶え、かつtonal language(声調が異なると意味が異なる言語)を聞き分けたり喋り分けたりするのは外国人には不可能に近いと言います.........
ま、要するに世界中殆どの国の人達が自分達の喋っている言語が一番難しいって言いたい訳です!
はたして誰が本当は正しいのでしょう?
お隣韓国の方々もご多分にもれず「韓国語は世界で一番難易度が高い言語だ」と公言してはばかりませんが、恐らく英国か米国の教育機関が作成したと思われる以下のグラフィックを引き合いに出し「韓国語は世界で最も難しい言語だ」と書いてあるブログが以前ちょっと話題になっておりました:
そのブログによれば一番上にあるスペイン語とオランダ語が最も簡単で、ヒンズー語やタイ語が中級レベル、一番右下の韓国語が最上級レベルの言語だ、との事らしいですが......
......果たしてそれって正しいのでしょうか?
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「世界一難しい言語」は何なのか?
これはあくまでも私見ですが、その答えは上記のグラフィックの上方にあるフレーズ:
How close the new language is to your native language or other languages you know.
((難易度は)新しい言語があなたの母国語、もしくは知っている他言語にどれだけ近いかによる)
つまり「アナタ」にとって最もマスターするのに時間がかかる言語はアナタの喋る母国語からボキャブラリーや文法構造の接点が最も希薄な言語、という事に尽きる、と思うのです。
英語を母国語としている人達にとって日本語や韓国語が最も難しい言語であるとするならば、その逆もまた真なり、つまり英語は我々日本人や朝鮮半島の方々にとって世界で最も難しい言語である、と言えなくもないのです。
ただ英語のボキャブラリーに関しては日本語化したものも多い為、そこは若干差し引いて考える必要がある、と言えるでしょう。
更に加えて言うと、以前も拙ブログに書いた「笑い」の違いに代表される、各言語のベースとなっている精神文化そのものの違いも真の意味でのFluency(流暢さ)には考慮されなければならない重要な点と考えます。
二つの言語が文法構造的にどれだけ似ているか、若しくは異なっているかはコンピュータさえあれば簡単に調べられます。
Googleとかにある翻訳機能を使ってみて下さい。文法構造や言い回しの特性が近い言語程、より正確に訳され、異なっている程、詩的でシュールな文体になっていくのです(笑)
例えば西ヨーロッパの言語であるフランス語やドイツ語の文章をコンピュータの自動翻訳で英語に訳してみると、ところどころ不自然なフレーズが出てきたりはしますが、9割以上意味は理解出来る文章になります。英語に最も近いといわれているオランダ語や語源の異なるフィンランド語を除くスカンジナビア系言語だと更に正確な文章に訳されるのです。
これがロシア語やアラビア語になるとその正確さは若干下がってきますが、ロシア語なら6、7割は理解出来る完成度です。
ところが!日本語の文章を自動翻訳で英語にすると完全にサイケでシュールな文章となってしまい、題材にもよりますが、なんとなく言わんとしている事が理解できるのは2割程度になってしまうのです。
つまり両言語の特性や文法が異なり過ぎていて、まだ信頼性の高いアルゴリズムが確立されておらず、最近大分改善されたとはいえ、関連性を十二分に把握出来るプログラムは書かれていない、というのが現状です。
逆に英語に限らず、インド・ヨーロッパ語族の言語はおおむね日本語に自動翻訳してもやはりほぼ理解不能な文章になってしまいます。
中国語でさえ日本語に自動翻訳するとちょっと不可解な文になってしまいますね。
僕の調べてみた中で最も自然な日本語に翻訳された言語は:
「韓国語」
でした。
これに近い事が我々の脳内言語中枢においても起こっている、と考えられる訳です。
つまり僕の説によれば日本人にとって最も簡単にマスター出来る外国語は韓国語、そして韓国人/北朝鮮人にとって最も簡単にマスター出来る言語は日本語となるのです。
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「そうは言ってもやっぱり漢字をおぼえる方がアルファベットをおぼえるより難しいだろう?」と仰る方もいらっしゃるでしょう。
学習、という観点から言えばそうかもしれません。
機能性という観点からいえば........どうなのでしょう?
バイナリー・コード、つまり0と1 からなる二進法 - コンピュータはこの二つの数字の組み合わせだけをベースとして複雑な計算を行っている訳です。
究極的にシンプルなこのシステムは我々の最先端を支える文字通り科学の進歩の象徴と言えるでしょう。
それを言語にあてはめると26文字の組み合わせだけで全てを表現出来る表記システムの方が、新聞一つ読むのも千以上の複雑な記号を覚えなければならないシステムより合理的、進歩的、とは言えないでしょうか?
「漢字には横文字には無い美がある」という方もいらっしゃるでしょう。
いや、それもごもっともです。
しかしアラビア文字やタイ文字(シャム文字)だって美しいと思うのです。
タイ語のキーボード
「世界一難しい言語」という観念は相対的なもので自分の母国語によりけり、という話はしましたが、では果たして「世界で最も美しい言語」というのは存在するのでしょうか?
日本人はやはり「日本語が世界で最も美しい言葉」と言いたがるでしょう。
ヨーロッパには「ドイツ語は醜くフランス語は美しい」みたいな通説がありますね。
しかしこれらの「美」の優劣を裏付ける決定的証拠なんて僕は見た事も聞いた事もありません。
「ピカソの絵とゴッホの絵のどっちが上手い?」なんて訊かれたら普通に思考停止してると思いません?
僕のように言語フェチにとっては(そしてそうでなくても)全ての言語が美しいのです。
詩人の心ある人が言葉を選択、羅列して話す時、いかなる言語であってもその言葉を解す人の心を打ちますし、魅力的な声の人が喋る言葉もまた心を奪われるものなのです。
そういった意味では言語は良くも悪くも単なるツール、使い方次第。
もっと言えば「正しい喋り方/標準語」、「良いアクセント/悪い訛」という観念もナンセンス........
........この辺は掘り下げると長くなってしまいますので次の機会に譲りますね(汗)
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我々は皆、自分の言葉、訛も含めた自分の言葉を恥じる必要はありません。誇りをもつべきです。
そして他の人達の異なる訛や異なる言語に対しても同様のリスペクトをすべきです。
実に簡単な事です。
世界中のそれぞれの言語が小宇宙そのものなのです!
そういえば、韓国の大学のセンセイが、韓国文学がノーベル賞を取れず、日本のうんこ作家がノーベル賞を取れるのは、韓国語が外国語に訳せない程、難度が高く、高尚な言語だからだ、と吠えている記事をむかーーし読みました。
返信削除日本語に近いんだから、(先方に言わせると逆ですが)、そんなに難しくはないんじゃね?というのがわたしの意見ですけどね。
それにしても、どの言語も「幼児」が話すととてつもなく難しくなりますね。
脳内で独自の文法を生み出し、自分が出来る範囲の発音を使い、さらに「自分だけにしか理解出来ない表現」を導入して話しますし。
つーことで世界一難しい言語は「幼児語」に一票。
特に御両親が異なる言葉を喋るご家庭ではかなりハイブリッドな「幼児語」になるでしょうね!
返信削除確かにその韓国の大学のセンセイのお話は眉唾ものですね。多分文章感覚や人間関係が独自過ぎて他の言語ではまったく物語が伝わらないとか?でも知り合いの韓国人を見ている限り、別に他の国の人と大差ある訳ではないのでそれは非常に考えづらいです。おそらく原因は他にあると思いますね。
幼児語より自分は外国の言語は何でも難しく感じちゃいますね。
返信削除きちんと思考が出来る分、逆に「これなら相手も理解出来るだろう」という思い込みがあったりして意思の疎通がしずらいと言うか。
大人と違って幼児の思考なんてたかが知れてますしね。